道ゆく人に、おすすめの本や、思い出の本、その他なんでも本にまつわるお話を伺う場を路上でひらく〈ほんとの話〉を開きました。猿沢池横のスペースや、商店街の中、行基前広場などなどさまざまな場所に移動しながら、立ち止まる人々と「本」を通して語り合う場をつくることができました。
自分の本棚を人に見せるというのはなかなかに恥ずかしく、立派な表現行為なのだなと改めて思いました。本を売っているわけではない謎の屋台をひいて、人通りの多い場所へ出て、道ゆく人がお持ちになっていた本も教えていただきました。
脳梗塞で一度倒れてから、リハビリで医者に歩けと言われて街を歩くようになり、すれ違う観光客にいろんな言語の奈良の観光マップを配るようになったおじさん。使い込んだ英和・和英辞典をお持ちで、わからない単語に出会ったら使っているそう。
「イスラエルとは何か、植民地主義はこの日本にもまだあるんじゃないか」というお話をお聞きしたり、「サイードの本を昔読んだことがある」と、『パレスチナとは何か』を、行基前広場で人を待っている間に読んでくださった方。
ジェンダー系の本も並べておりましたが、「『エトセトラ』置いている本屋さん、なかなかないですよねー」と、手に取ってくださった方。
「(本棚を見て)手に取れそうな本はないわ」
と、きっぱり言われてしまったり、
「親から手紙を挟んだ本をもらったことがあって、あれは本がおすすめなのか、手紙を渡すための単なる本だったのか、わからなかったけど読んだらそれなりに感激した」と、手紙を渡すためという本の使い方があったか!と。
「失読症のため人生で一度も本を読んだことがない」という方も、声をかけてくださいました。
奈良刑務所の写真集を手に取って「ごみ収集の仕事をしていた時、奈良刑務所にも収集に行った。いろいろと厳しい場所だった」という思い出を話してくださった方、
「あの屋台、今どこにいますか?」と、ならまちを彷徨って探して来てくださった方も。
謎の屋台がある風景をならまちの中に作れたでしょうか。
※【コラム】私のほんとの話 https://naramachi-wandering.kotohogunara.jp/columns/391/
※ならまちワンダリング Webサイト
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“【イベント報告】奈良市アートプロジェクトにて移動する本屋台〈ほんとの話〉をひらきました” への2件のフィードバック
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