風間ゼミでの学び
〜感性を通して学び、世界と向き合う解像度を高める
はじめに
奈良県立大学地域創造学部・風間勇助ゼミでは、現代の社会においてアートが持つ役割とは何かを問い、アートと社会のさまざまな関係性を探るべく、アートプロジェクトやアートマネジメント、文化政策などを中心に、アートが関わるさまざまな領域を学際的に、実践的に学ぶゼミを目指しています。
ゼミでは「やりたいこと」に向き合います。今この社会に「やりたいこと」を持っている人、そしてそれを実際にやれている人というのはどのくらいいるでしょうか。「それって意味があるの?」「役に立つの?」こうした言葉と発想が、やりたいことを封じ込め、本来豊かなはずの人間や社会の可能性を狭めてしまいます。
アートマネジメントは、一人ひとりのやりたいこと=表現欲求に丁寧に寄り添い、現代の社会に求められる表現の場をつくりだし、新たな価値を探究する実践的かつ学際的な研究領域です。
やりたいことをやっていると、「私もそういう場を求めていた!」「私はこれもやってみたい!」と、人々の創造性を喚起し、個人的なやりたいことが実は他者へとつながる回路になり得ます。
このようにアートが人々の集まるきっかけになり、誰もが持つ創造性を発揮していける場やコミュニティを育て、これからの社会に必要になるかもしれない新たな価値を探求していけると考え、「やりたいこと」を出発点にしてこの社会を見つめるゼミにしたいと思います。

ゼミ方針
風間ゼミでは、卒業するまでに到達したい目標を以下の3つにしています。
- 表現してみることを通して自分ならではの視点、感性、価値の軸は何かを発見する。自分の得意なこと、好きなこと、やりたいことに気づく。
- 消費者(お客さん)あるいは傍観者ではなく、自ら何かをつくりだせる人になる。作品やその展示にかぎらず、ワークショップやトークイベントなど場をひらくことも含めて。
- アートならではのコミュニケーションの可能性とは何か、自分の言葉で考えられるようになること。
また、学びのモデルとしては、インプットからアウトプットへの間で、何かの「わからなさ」の前で立ち止まること(ネガティヴ・ケイパビリティ)や悩むこと(もやもや)を大切にします。わかりやすさ(効率性、合理性、単純化等)が求められる社会で、感性をはたらかせて解像度高く世界を観察し、複雑な物事を複雑なまま受け止め、それでもなんとか言葉やカタチにしようと試みる人文知を通して学びを深めていきます。この世界をどう見るか、歴史上のあるいは同時代のアーティストたちの実践やコンセプトからヒントを得られることもあるかもしれません。

ゼミ方針についてより詳細は、 こちら
成果展にむけてつくる、表現する
1年生〜4年生まで、どの学年においても風間ゼミでは論文以外の方法で自らの関心を表現することを試みています(4年生は卒業論文も提出します)。ゼミは3〜4年生は合同で実施され、毎年11月下旬〜12月上旬にかけて「成果展」を、学生主体の運営のもとに開催しています。作品制作の展示あるいはワークショップやトークイベントの企画など、場をひらくことを一人ひとりが経験するのと同時に、成果展そのものを一つのプロジェクトとして、チームで情報共有や役割分担、合意形成をしながら運営していくことを学ぶ機会にしています。
これらは、プロジェクト・ベースの学びであると同時に、「アートベース・リサーチ(Arts-Based Research)」の手法として取り入れているものです。アートベース・リサーチは、制作行為そのものを通して思考を深め、新たな知や問いを生成していく近年注目されている研究アプローチです。実践的あるいは感覚的な気づきと、理論や概念的思考とを往還し、独自の視点を育んでいくことを目指しています。



成果展のページは こちら
これまでの制作事例
1.ZINE(ジン)
1年生が取り組んだ「ZINE」(小冊子)制作。中身は当然ながら、どのような素材を用いるか、製本の仕方、印刷の仕方など、各自が自らの関心や調べたことをまとめ、冊子として表現しました。



ZINE制作にあたり、ゲスト講義を行なった様子は こちら
2. ワークショップ
ゼミ生の企画による目の見えない人とともに行なう対話型鑑賞ワークショップ。ゲストにはアトリエみつしまの光島貴之氏を招いた。作品に触れた感触を言葉にして対話しながら鑑賞し、感覚の共有を試みました。


3. 屋台
誰でも思うままに場をひらくことができる装置「屋台まにまに」を制作。各自が屋台をつかったワークショップや行き交う人の交流の場を立ち上げました。

4. 映像制作
2年生が取り組んだのはインタビュー映像制作です。各自の関心にもとづき、インタビュー調査を行い、それを映像編集し公開しています。インタビューにおいては、調査の目的を対象者に伝え、映像化や個人名の表記の有無など必要な同意をとり、研究倫理についても学びました。

制作した映像は こちら のページからご覧になれます。
卒業論文
最終学年となる4年生では、卒業論文を書きます。過去の卒業生たちの卒論タイトルは こちら のページからご覧になれます。

