2022年10月28日に、風間もメンバーになっている 「アート/ケア/文化政策」研究会 が開催したシンポジウム「『生きにくさ』と向き合うアートマネジメントの実践研究:反抑圧的ソーシャルワークを手掛かりに」の実践報告となるワーキングペーパーが公開されました。以下の静岡文化芸術大学リポジトリより、どなたでもご覧いただけます。
「よりよいケアに満ちたアートの現場づくりを考える ――公開研究会「『生きにくさ』と向き合うアートマネジメントの実践研究 : 反抑圧的ソーシャルワークを手掛かりに」の記録から」
アブストラクト
本稿は、2022年10月28日に、Mekong Cultural Hub(以下、MCH)1主催のシンポジウム週間「繋がることから協働へ:アジアのアートとソーシャルアクションのミーテイングポイント(From Connection to Collaboration: A Meeting Point on Art &Social Action in Asia)の企画の1つとして静岡文化芸術大学で「アート/ケア/文化政策」研究会が開催した「『生きにくさ』と向き合うアートマネジメントの実践研究:反抑圧的ソーシャルワークを手掛かりに」の実践報告である。
シンポジウムでは、「アートの現場をソーシャルワークの実践の中で展開してきた反抑圧的ソーシャルワーク実践(Anti-Oppresive Social Work Practice, AOP)から捉えるとどのように見えてくるのか」を課題設定とし、AOPの視座の紹介と、上田市、浜松市の実践報告を行った。本稿では、シンポジウムの対話から浮かび上がったAOPの視点からアートの現場を捉えなおす際の重要点について考察した。
シンポジウムにおける事例報告や質疑応答では、主に①AOPが最も重視する「内省的省察(critical consciousness)」と②創造性の在り方について検討がされ、「創造的であるということは批判的でもある」という通奏低音(相関点)が提示された。それを踏まえ、本稿では、①開かれた創造の場における内省的省察は、自身の立場性の再考を促し、関係性を繋ぎなおす契機をもたらすこと、②それは、皆が「社会の当事者」として立ち振る舞うことを促し、既存の考えや価値観を揺るがし、「自律/自立」を可能にすること、③その先に、「自治」を生み出す力が育まれることを指摘した。この点において、アートの現場では、福祉の現場で目指される「自立」を超える営みが行われるのである。

