4/18〜「スピードの物語」展 開催!瑞雲庵(京都)にて

アシスタントをしている展覧会が4月18日から5月18日まで、京都の瑞雲庵にてひらかれます。KYOTOGRAPHIE(京都国際写真祭)の時期とも重なりますので、ぜひともお立ち寄りください。とても良いスペースです。

展示概要

「スピードの物語」
キュレーター:カジェタノ・リモルテ
会期:4月18日(金)〜5月18日(日)12時〜18時
  *開館は金・土・日・月のみ!
会場:瑞雲庵(京都市北区上賀茂南大路町62-1)Google map
入場無料

出展作家
荒木悠、ユ・ソラ、シネマ58、高山明、原田裕規、瀧健太郎、川田喜久治、トモトシ、カワニシユウキ、津田道子、小津安二郎、八島良子

コンセプト

1964 年は日本の現代史における重要な年として知られるが、同年にメディア理論家のマーシャル・マクルーハンが『メディア論』を出版している。その「時計」について論じる章では、職業が労働の分割から始まったように、持続するものとしての時間の感覚は時間の分割から始まったという。そして、時間を分割する時計とは、「流れ作業のパターンにもとづいて画一的な秒、分、時間を作り出す一個の機械」である。このように画一的に扱われることで時間は人間の経験のリズムから切り離されてしまう。時計は、宇宙のイメージを数値で計量可能なもの、機械的に制御可能なものとすることに寄与する。それもあってなのか、1871 年のパリ・コミューンの際には、一部のアーティストを含むパリの人々が街の塔の時計を銃撃した。

しかし、それから100 年以上が経過した今日、資本主義の機械のリズムが、文化的アイデンティティを均質化したグローバル文化へと徐々に悪化させる原因となっているだけでなく、労働のリズムによって体系的に搾取され、うつ病や自殺につながることも多い数多くの慢性疾患や肉体の劣化を加速させる原因となっていることを、私たちはより一層認識している。いまや非常に蔓延しているこうした障害は、恒常化したストレスによって引き起こされており、資本主義そのものが医薬品、福祉、娯楽産業を通じて利益を得ることにつながっている。

本展の作品群は、アーティスト自身の実践を通じてこれらの現象と向き合い、自身の時間を遅らせ、回復させる可能性を示している。

助成:公益財団法人西枝財団、公益財団法人朝日新聞文化財団

協力:Artists’ Guild, Gallery PARC [GRAND MARBLE], PGI Gallery, Sogetsu Foundation, Shochiku Co., Ltd., TARO NASU

特別協力:VIDEOART CENTER Tokyo

アシスタント・キュレーター:風間勇助

デザイン:国吉智彦

フライヤー(PDF)

出展作家プロフィール

荒木悠 Yu Araki

1985年山形県生まれ。米国ワシントン大学で彫刻を、東京藝術大学では映像を学ぶ。日英の通訳業を挫折後、誤訳に着目した制作を始める。近年の主な展覧会や上映にSCARTS(札幌、2025年)、バンコク実験映画祭(2025年)CAMグルベンキアン(リスボン、2024年)、東京都写真美術館(2024年)、十和田市現代美術館(2023年)、C-LAB(台北、2023年)、ロンドンICA(2021年)、マルセイユ国際映画祭(2021年)、ポーラ美術館(箱根、2020年)、資生堂ギャラリー(東京、2019年)、ロッテルダム国際映画祭(2018年、2020年)、アートソンジェ・センター(ソウル、2019年)など。2017年に光州のアジアカルチャーセンター、2018年にはアムステルダムのライクスアカデミーにゲスト・レジデントとして滞在。2019年はフューチャージェネレーション・アートプライズのファイナリストに選出される。恵比寿映像祭2023「コミッション・プロジェクト」では特別賞を受賞。令和6年度公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員(リスボン、ポルトガル)。

シネマ 58 Cinema 58

「シネマ 57」は、1957年から1959年まで活動した実験映画グループで、年を経るごとに「シネマ 58」「シネマ 59」と名称を変更した。グループのメンバーは草壁久四郎、 向坂隆一郎、荻昌弘、松山善三、川頭義郎、武者小路侃三郎 、丸尾定、勅使河原宏、羽仁進の9名であった。主な活動として、会報「Cinema」の発行や映画上映研究会を開催するほか、短編映画『東京 1958』を制作した。同作品は脚本、演出、編集などの全てを全員で協議し、共同で行なうというユニークな方法を採用し、ブリュッセルで開催された世界実験映画コンクールに出品された。“東京の混沌と古い日本”というテーマを、浮世絵を引用しつつ日常の断片の中で描こうとした。

原田 裕規 Yuki Harada

1989年、山口県生まれ。とるにたらない視覚文化をモチーフに、テクノロジーやパフォーマンスを用いて、社会や個人の本性(ほんせい)を「風景」や「自画像」のかたちで表現している。2012年に「ラッセン展」と「心霊写真展」の企画でデビューし、議論喚起型のプロジェクトからその活動を開始。2019年以降は断続的にハワイに滞在し、ピジン英語に代表されるトランスナショナルな文化的モチーフに着目している。主な個展に「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、2023年)、「KAATアトリウム映像プロジェクト」(KAAT 神奈川芸術劇場)、「Unreal Ecology」(京都芸術センター、2022年)、「アペルト14 原田裕規 Waiting for」(金沢21世紀美術館、2021年)、「One Million Seeings」(KEN NAKAHASHI、2019年)など。2023年にTERRADA ART AWARD 2023でファイナリストに選出、神谷幸江賞を受賞。2024年に日本ハワイ移民資料館に初の現代美術コレクションとして《シャドーイング》が収蔵・常設化。

川田喜久治 Kikuji Kawada

1933年茨城県生まれ。 1955年、立教大学経済学部を卒業し、新潮社に入社。1959年よりフリーランスとなる。佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高、細江英公らと共に写真エージェンシー「VIVO」(1959-61年)を設立。日本の敗戦という歴史の記憶を記号化する抽象とメタファーに満ちた作品集「地図/The Map」を1965年に発表し、以来現在に至るまで、常に予兆に満ちた作品を発表し続けている。自身の作品を「時代に潜むデーモンを驚きの影として写しとめることで、記憶も作家のスタイルを映す鏡になるかもしれない」と語る。近年はインスタグラムにて写真への思考を巡らせながら、日々作品をアップし続けている。

カワニシユウキ Yuki Kawanishi

1997年生まれ、2023年筑波大学大学院芸術学学位プログラム総合造形領域を修了。「記憶の忘却に対してどう向き合うか」という問いを原点とし、物質と記憶の関係に主眼をおいた制作活動を行う。現在は主に写真を媒体とし、それらが想起させる存在の不確かさや必然的な忘却そのものに直面することで人の内面に刻まれた記憶や感情へのアプローチを試みている。近年の主な展覧会に、『光をほどいて、編む』(2025年, アートかビーフンか白厨/東京・六本木)、『経済産業省 The Chain Museum プロジェクト「OKUROJI STUDIO EXHIBITION」 』(2023年, 日比谷OKUROJI/東京•日比谷)、『いざ、真夏のパフォーマンス。』(2023年, アートギャラリー工房親/東京•恵比寿)、『WHAT CAFE EXHIBITION Vol.22』(2022年, WHAT CAFE/東京•天王洲)。

小津安二郎 Yasujiro Ozu

小津安二郎(1903 – 1963)は日本の映画監督、脚本家。日本映画を代表する監督のひとりであり、サイレント映画時代から戦後までの約35年にわたるキャリアの中で、原節子主演の『晩春』(1949年)、『東京物語』(1953年)など54本の作品を監督した。ロー・ポジションによる撮影や厳密な構図などが特徴的な「小津調」と呼ばれる独特の映像世界で、親子関係や家族の解体をテーマとする作品を撮り続けたことで知られ、1962年には映画人初の日本芸術院会員に選出された。

ユ・ソラ Yu Sora

1987年韓国、京畿道生まれ。2011年弘益大学(Hongik University, 韓国)彫塑科卒業。2020年東京藝術大学大学院美術研究科 彫刻専攻修士課程修了。刺繍の平面作品や立体作品のインスタレーションなど、白い布と黒い糸を使った作品を展開している。2013年黄金町バザール参加、2018年Tokyo Midtown Award 優秀賞を受賞、2019年六本木アートナイト参加。2020年第68回東京藝術大学修了作品展買上作品・杜賞。2022年sanwa company Art Awardグランプリを受賞。近年の主な個展に「もずく、たまご」(資生堂ギャラリー、東京、 2023年)、BankART Un-der35(BankART KAIKO、横浜、2022年)、「普通の日」(あまらぶアートラボ A-lab、兵庫、2021年)、「些細な記念日」(ロッテギャラリー、ソウル、2018年)、「引越し」(YCC Gallery、横浜、2017年)など。

高山明 Akira TAKAYAMA

高山明(1969年生まれ)は、ドイツでの演劇活動の後に帰国し、2002年にPort Bを結成。2006年以降、身体を張ったリサーチに基づいて演劇的発想を都市空間に展開するプロジェクトを開始。2010年に、都市の中に実在する「宗教施設」「シェアハウス」「路上生活者の集まり」「出会いカフェ」などを“避難所”として設定し、“避難民(参加者)”が巡る『完全避難マニュアル』を発表して注目を集める。以来、ジャンルを超えたアーティストを巻き込みながら人間の観点から都市を浮かび上がらせる『国民投票プロジェクト』『東京ヘテロピア』『横浜コミューン』などさまざまなプロジェクトを国内外の都市で展開。

瀧健太郎 Kentaro TAKI

1973年大阪生まれ。建築物や廃材を利用したオブジェへの夜間の映像投影を行なうインスタレーションやパフォーマンスを制作。参加展に「A Land of Happiness 野景」(2019年、台北国際芸術家村トレジャーヒル、台湾)、「窃視症マシン」(2020年、MORI YU GALLERY、京都)、「ART OSAKA 2022エクスパンデッド・セクション」(2022年、名村造船所大阪工場跡地、MORI YU GALLERYブース)、ART VISION SHIZUOKA(2023年、静岡・泉ヶ谷)、「黄金町バザール2024-世界のすべてがアートでできているわけではない-」(2024年、横浜・黄金町)など。

トモトシ Tomotosi

1983年山口県出身。国立大学法人豊橋技術科学大学建設工学課程を卒業後数年にわたって建築設計・都市計画に携わる。2014年より展覧会での発表を開始。「人の動きを変容させるアクション」をテーマに主に映像作品を制作している。また2020年よりトモ都市美術館を運営し、新しい都市の使い方を提案している。主な展覧会に、「tttv」(中央本線画廊、2018)、「あいちトリエンナーレ2019」(豊田市、2019) 、「有酸素ナンパ」(埼玉県立近代美術館、2019)、「ミッシング・サン(芸術競技2021)」(代々木TOH、2021)、「絶望的遅延計画」(TAV GALLERY、2023)がある。 主な受賞に「WIRED CREATIVE HACK AWARD 2019」準グランプリ、「イメージフォーラム・フェスティバル2019」観客賞、「デイリーポータルZ 新人賞2020」優秀賞がある。

津田道子 Michiko TSUDA

1980年神奈川生まれ。インスタレーション、映像、パフォーマンスなど多様な形態で、鑑賞者の視線と動作によって不可視の存在を示唆する作品を制作。独特のスタイルの作品群は、不思議な空間的広がりと詩的な豊かさを備えている。主な展覧会に、2021年「アジア・パシフィック・トリエンナーレ」(QAGOMA、ブリスベン)、2020年「Arts Towada十周年記念 インター+プレイ展 第1期」(十和田市現代美術)、2019年「あいちトリエンナーレ2019: 情の時代(Taming Y/Our Passion)」(伊藤家住宅)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館)「art trip vol.03 in number, new world / 四海の数」(芦屋市立美術館、兵庫)、主な個展に、2020年「Trilogue」(TARO NASU)、2017年「Observing Forest」(Zarya現代美術センター、ウラジオストク)などがある。2013年東京芸術大学大学院映像研究科で博士号を取得。2019年にACCのグランティとしてニューヨークに滞在。2017年第20回文化庁メディア芸術祭アート部門新人賞を受賞。Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024受賞。

八島良子 Ryoko Yashima

1993年、広島県江田島市生まれ。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科修了後、尾道市の離島・百島を拠点に作家活動を行う。人間の皮層に視覚化される痛みや祖母の戦争・被爆体験を元にした作品を制作している。また、2019年より自らの手で豚を育てて屠畜し食べるプロジェクト「メメント・モモ」に取り組む。自身と豚との関係性から社会構造を捉え、映像、写真、立体、インスタレーション、執筆といった多様な手法で表現を探求している。2024年9月には著書『メメント・モモ』を幻戯書房より出版。2017年より非営利ギャラリー「ART BASE MOMOSHIMA」の企画運営も行っている。

キュレータープロフィール

Cayetano Limorte カジェタノ・リモルテ

1990年スペインで生まれ、マドリードと東京を拠点に美術史家、インディペンデント・キュレーターとしてメディアアートを専門に活動している。2013年コンプルテンセ大学美術史学部を卒業。その後、スペイン国立図書館の公式大学インターンシッププログラム(映像音楽コレクション部門)を修了した。2016年にはマドリード・コンプルテンセ大学、ソフィア王妃美術館による合同修士課程(現代美術史・視覚文化)を修了した。キュレーション活動において、アート、身体性、テクノロジーの関係性に焦点をあてている。異文化間を越境する視点から、また言語哲学への強い関心を通して、メディア・アートを起点に疎外感、孤独、死といったテーマを探求している。美術史家としては現在、日本におけるビデオ・アートの始まりについて研究している。グループ展「閉回路、またはコミュニケーションの錯覚」が、スペインのバレンシア美術館委員会によって主催された三年に一度のキュレーター募集で優勝し、2026年にスペインで最も名高い現代美術センターのひとつであるCentro del Carmenで開催されることとなった。2016年から2019年にかけて、マドリードにある1993年に設立された芸術の代表的なオルタナティブスペースであるCruce Arte y Pensamientoのキュレーションチームに所属。現在、キヤノン財団ヨーロッパの助成により東京藝術大学に1 年間の客員研究員として滞在(〜2025 年9 月)。著書に『エルネスト・ネト:コモンプレイスとしての身体(Ernesto Neto. El cuerpo como lugar común)』(2018年、Asimétricas )の他、Webメディア A*Desk Magazineにおいても記事を投稿している。

近年の主な展示(キュレーション)

  • 2025年「夏の夜の夢:Ana Esteve Reig」The 5th Floor、東京 (4月6日 – 6月8日)
  • 2024年「GENE, Topia and Revolution : 1986-1988」ソフィア王妃美術館、マドリード 、スペイン
  • 2022年「体の終わり La Clausura del Cuerpo:遠藤麻衣×百瀬文」Las Cigarreras、アリカンテ、スペイン

受賞・助成

  • 2024年 キヤノンヨーロッパ財団「Research Grant」・東京藝術大学
  • 2024年 Tokyo arts And Space キュレーター招聘プログラム (2024年5月 – 2024年7月)
  • 2021-2022 年 国際交流基金「Japanese Studies FellowshipProgram」・東京藝術大学

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