成果展2023

風間ゼミ成果展

わたす展-線をほどいて「みる」


会期:2023 年 11 月 26 日(日)-12 月 3 日(日) 13 時~17 時

入場無料 、チラシは こちら(PDF)

会場:奈良県立大学内 各所(受付:地域交流棟 1F)

奈良県立大学地域創造学部風間ゼミは、現代アート展「わたす展―線をほどいて『みる』―」を開催します。 芸術に関わることに興味をもつゼミ生 13 人が、それぞれの研究テーマを現代アートに落とし込み、作品制作 やイベントを行う展覧会です。
 今の世の中は、個人が持つ複雑な感覚や、混沌とした社会など、様々な思考の線が編みこまれているのではないかと考えています。その中には、凝り固まったステレオタイプが絡まっていたり、肥大化し核が見 えなくなった物語が混じっていたりします。また、私たちが見ている世界にも曖昧な境界線があり、それら は人や状況によって異なっています。私たちの知らない場所で、知らない誰かが、知らない喜びや苦しみを 抱えているはずです。
 そこで、絡まり合った線をいちど丁寧にほどくことに挑もうと思い、この展覧会を企画しました。ほど けた小さな物語たちをじっくり見つめ、編み直していくことで、今より柔らかく、広く、物事を考えられる かもしれません。さらに展覧会というかたちで私たちの考えを示すことで、これまでの芸術のあり方の先を 見たい、より新しくより近い距離で芸術に触れたいと考えています。
 あなたに私たちの表現をわたし、一緒に考えること、そして少しでも編み直された線たちを未来にわた すことができればと願っています。

展示

  1. いつかの停留所吉田珠世麗
  2. 言葉から表現をさがす佐藤利香
  3. みんなでつくるインクルージョンタウン神園悦乃
  4. セイヨウビジュツ感 show!!ーキャプションどこどこー竹中寧音
  5. 魔法少女_虚構と現実の交差中尾ねね
  6. 触れて『みる』聴いて『みる』」中山亜姫
  7. シンギュラリティ鈴木智萌奈
  8. 私のびじゅつかん宮川莉奈
  9. 展覧会の回遊を促す仕掛け内田わか葉
  10. M1 でウケるボケとは?原田龍之介
  11. ドラァグクイーンへさらに歩む原佳音
  12. 一切の表現の自由 #2 ー見えない制度鈴木千尋

ワークショップ

13. 親演 -「演じる」を親しむワークショップ小林良駿
気軽に演劇に触れることを目的としたワークショップです。 11/26(日)13:30~16:30、12/3 (日)11:30~15:00
場所:コモンズ棟1階 C101教室

14. もっとじっくりセイヨウビジュツ感 show!!竹中寧音
観て、考えて、話して、聴いて、絵画のオリジナルストーリーを
つくります。 12/1(金)14:40~15:40
場所:図書館前 中庭

15. おいでよ快楽の園竹中寧音
ヒエロニムス・ボス「快楽の園」の住民と仲良くなり、住んでみます。
11/28(火)14:40-15:40、12/3(日)15:30-16:30
場所:コモンズ棟2階 オープンスペース

16. 言葉から表現をさがす佐藤利香
言葉を編み出すワークショップから、表現について考えます。
11/28(火)13:00~14:30、12/1(金)13:00~14:30、12/2(土)14:00~15:30
場所:地域交流棟3階 ラーニングコモンズ

アクセス

JR奈良駅(東口)・近鉄奈良駅(7番出口)より徒歩約10分
奈良県立大学ホームページ アクセスマップ

展示会場MAP

展示紹介

1. 「いつかの停留所」吉田珠世麗

場所:地域交流棟3階ラーニングコモンズと付近の廊下
果てしなく続いていく日常をかたちにしたとき、同じ大きさなのにこんなにも違うとわかる。
日常を、そのときの感覚のまま覚えておくということは難しいことではないでしょうか。忘れられ過ぎ去ってゆくものを「残したい」という思いから、それを見ればその時に戻れるような情景を色とりどりの布で表現しました。いつか見た景色をいつか思い出す、そんな停留所を作りました。この前で立ち止まるときだけ、忘れていたことを思い出してみてほしいです。そして、残してみてください。

2. 「言葉から表現をさがす」佐藤利香

場所:地域交流棟3階ラーニングコモンズ
アートマネジメントやアートプロジェクトに興味をもち研究してきたなかで、アートと言葉の関わりを考えたいと思うようになった。アートを伝える際に何をどういった言葉で示すか。日常的に行われる「何かを伝える」という行為は、どこからがアートと言えるのか。アートの中から生まれる言葉のやり取りから、人が生きるための知恵のようなものが見つけられるのではないだろうか。
アーティストや鑑賞者や企画者などのような立場にとらわれず、表現すること、言葉を編み出していくことについて考え、アートと言葉についてのあれこれを確かめていく。
言葉を伝える媒体が様々にあるなかで、今回は「書く」と「話す」を取り上げ、それぞれで表現にまつわる問いと向き合う。

3. 「みんなでつくるインクルージョンタウン」神園悦乃

場所:1号館102教室
自分の思うがままにあなたを表す住人を作って街を賑やかにしてください。
その子はどんな性格ですか?よければ教えてください。
もし気になった住人の方には声をかけてみてください。

4. 「セイヨウビジュツ感 show!!ーキャプションどこどこー」竹中寧音

場所:図書館前中庭
キャプションとは、作品に添えられた説明書きのことです。皆さんは美術館に行った際、作品よりもキャプションをじっくり見ている、なんてことはありませんか?この空間にある作品には、作品の答えを示してくれるような特定のキャプションは存在していません。複数の鑑賞者が作品から感じ取った、思い思いの説明書きが添えられています。作品の答えはあなたと作品の対話から生まれます。あなただけのキャプションを作りませんか?

5. 「魔法少女_虚構と現実の交差」中尾ねね

場所:3号館1階廊下
私は魔法少女をテーマに研究をしています。彼女たちを考察するうち、インターネットの普及によって私たちが虚構にアクセスできるようになった結果、魔法少女の世界にリアリティが存在し始めたことに気がつきました。この作品では、魔法少女という虚構とリアリティが交わった存在を表現するために、オリジナルの魔法少女コスチュームを制作しました。フィクションや虚構を表現するために、通常の布ではなく紙をコスチュームの土台として選び、その上にリアリティを表現するための本物のフリルやリボンなどの装飾アイテムを取り付けています。

6. 「触れて『みる』聴いて『みる』」中山亜姫

場所:3号館1階セミナールーム
私は個人研究を進める中で、アートを通じて支援する人と支援される人が対等な関係性を築いていく方法を模索してきました。今回は目の見える人・見えない人の関係性に着目し、彼らが共にアートに親しむ場を提供するアーティスト、光島貴之氏との対話をもとに作品を制作しました。「ケアする/される」といった福祉の視点とは少し違った視点から、見える人・見えない人の新たな関係性を探っていきます。目の見えない人の感覚を想像しながら鑑賞していただけると嬉しいです。

7. 「シンギュラリティ」鈴木智萌奈

場所:コモンズ棟3階リフレッシュゾーン
近代、生成系AIなどの技術の発展が著しく、ネットニュースなどに取り上げられる程にその話題は広まっている。しかし、現在AIの悪用が増えているので、多くの人々は生成系AIに対してあまり良い感触を示していない。そこで、今回は生成系AIを利用して作られたイメージを、写真展覧会という人々に親しまれている企画の中に取り入れて、生成系AIに触れたり、生成系AIとの付き合い方を考えるきっかけの場を作った。

8. 「私のびじゅつかん」宮川莉奈

場所:3号館周辺、コモンズ棟3階C310教室
昨年コロガル公園テラスの調査を行い、子どもたちの鑑賞体験がただ作品を眺めて終わるような受動的なものではなく、作品を感じ、考え、行動を起こすといった能動的なものであることに気づいた。また、美術館の定義についても見つめなおし、建物(ハコモノ)でなくとも、そこに作品があれば美術館といえるのかどうかを考えたいと思っている。そこで、屋内と屋外の両方で鑑賞者が思う「びじゅつかん」をつくってもらう作品とした。

9. 「展覧会の回遊を促す仕掛け」内田わか葉

場所:各会場周辺、コモンズ棟2階オープンスペース
私は、「つい」したくなるような仕掛けと見るだけで完結しないような参加・介入を求める作品について研究をしています。昨年行った展示では、様々な場所に点在している作品を「線」を用いた仕掛けで鑑賞を促しました。今年は「点」をモチーフとし、参加型の仕掛けとして、皆さんの鑑賞の足跡を残すと同時に回遊も促すことのできるような作品を制作しました。皆さんひとりひとりの鑑賞の足跡を、結ぶという行為を通して残してくださると嬉しいです。

10. 「M1 でウケるボケとは?」原田龍之介

場所:コモンズ棟2階オープンスペース
「コーンフレークはね 朝から楽して腹を満たしたいという煩悩の塊やねん」「YouTuberは警察に捕まり始めている。若いうちに大金を得ているからまともではない」これらは過去のM1グランプリ優勝ネタの一部である。どこか共感できるようなボケが多くないか。そんな疑問から、漫才のボケをほどいて「みる」ことにした。

11. 「ドラァグクイーンへさらに歩む」原佳音

場所:コモンズ棟2階オープンスペース
私は初めて画面越しで見た時から、その見た目や振る舞いに惹きつけられ、昨年からドラァグクイーンについて研究しています。個人研究を続ける中で、さらにドラッグクイーンに迫りたいと考え、今回は衣装に焦点を当てました。本作では体を半分に分け、女性性と男性性を誇張し、男女の境界線を曖昧にすることを意識しました。この作品をきっかけにジェンダーステレオタイプについて考えたり、ドラァグクイーンに興味を持ってもらえれば嬉しいです。

12. 「一切の表現の自由 #2 ー見えない制度」鈴木千尋

場所:コモンズ棟1階廊下
「表現」とは、目に見えないモノを可視化させる行為であると考えています。目に見えないモノとは何か考えたとき、複雑な人間の感情や、人々の潜在にある慣習儀礼、社会制度、文化などが浮かびました。
物事の複雑さを単純化せず、自分が認識できるカタチで提示する「アート」を手法に、人々の潜在意識にあるモノへの可視化を促します。
また、天皇制をテーマとした作品「菊の皇子様」を手掛けた、木村了子さんとの対話を交えながら、人々に根付いた文化である皇室制度や、芸術表現の可能性について考えます。

ワークショップの紹介

13. 「親演 -「演じる」を親しむワークショップ」小林良駿

11/26(日)13:30~16:30、12/3 (日)11:30~15:00
場所:コモンズ棟1階 C101教室
皆さんは「演じる」という言葉が、どれだけ身近に感じられるでしょうか。もしかすると、自身が演じた経験は幼稚園や小学校でのお遊戯会が最後…という人もいるのかもしれません。「演じる」とは、きっかけの無さから敬遠されがちで、どこか他人事に感じられるものかと思いますが、実際は結構単純な行為なのです。
 このワークショップを機に、演じる簡単さや楽しさに触れてもらい、演劇に対するハードルが低くなれば幸いです。

14. 「もっとじっくりセイヨウビジュツ感 show!!」竹中寧音

12/1(金)14:40~15:40
場所:図書館前 中庭
キャプションどこどこの空間にある作品をつかったワークショップです。昨年のセイヨウビジュツ感show!!では展示のみを行いましたが、もっと深く鑑賞するために作成したプログラムです。皆さんは作品を鑑賞する際、どこをどのように観ているでしょうか?このワークショップでは、参加者と共に作品をじっくり観て、対話をしながら鑑賞をします。観て、考えて、話して、聴いて、最後には絵画のオリジナルストーリーをつくります。

15. 「おいでよ快楽の園」竹中寧音

11/28(火)14:40-15:40、12/3(日)15:30-16:30
場所:コモンズ棟2階 オープンスペース
ヒエロニムス・ボス「快楽の園」をつかったワークショップです。欲望や快楽に耽る様子を描いたこの作品の人々は、ちょっと怖いけど楽しそう。この人々は一体何をしているのだろう?もしも私が快楽の園に住むならどんな姿?快楽の園の住民をじっくり観察し、自分の理想の姿を絵や写真で表現し、快楽の園に組み込んでいきます。

16. 「言葉から表現をさがす」佐藤利香

アートマネジメントやアートプロジェクトに興味をもち研究してきたなかで、アートと言葉の関わりを考えたいと思うようになった。アートを伝える際に何をどういった言葉で示すか。日常的に行われる「何かを伝える」という行為は、どこからがアートと言えるのか。アートの中から生まれる言葉のやり取りから、人が生きるための知恵のようなものが見つけられるのではないだろうか。
アーティストや鑑賞者や企画者などのような立場にとらわれず、表現すること、言葉を編み出していくことについて考え、アートと言葉についてのあれこれを確かめていく。
言葉を伝える媒体が様々にあるなかで、今回は「書く」と「話す」を取り上げ、それぞれで表現にまつわる問いと向き合う。

【書く】アーティストや参加者らと、日常の身近な行為からアート活動までの様々な表現について話し合うワークショップ
日時:
11月28日(火)13:00~14:30
12月1日(金)13:00~14:30
12月2日(土)14:00~15:30
場所:地域交流棟3階 ラーニングコモンズ

ゲストアーティスト:クニモチユリ
1997年静岡県生まれ。2020年多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻木版画コース卒業。同年、京都市立芸術大学美術研究科修士課程彫刻専攻入学(現在在学中)。一貫して人がものを「見る」という行為に注目した作品を制作している。
近年は作家活動と並行して「カレーのパースペクティブ」プロジェクトの一員としても活動を行っており、カレーというメディアが持っている美術的な素養や魅力に関心を寄せ、制作を通してその効力や作品性を明らかにしようと模索している。

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