美術家の飯山由貴さんが企画されたシンポジウム「「障害者による文化芸術を推進する法律」と人権」に、コメンテーターとして風間が参加します。参加は当日の会場での参加と、事前申込者に対するアーカイブ視聴の2種類があるようです。ぜひお申し込みください。
詳細・お申し込みは Peatixのこちらのページ から
シンポジウム「障害者による文化芸術を推進する法律」と人権
日時:2026年3月15日(日)13:30~17:00
参加方法:
①アトリエみつしま Sawa-Tadori会場で参加する。(会場受付は13:00から)
2026年3月14日(土)までにお申し込みください。定員30名。
※同チケットで、後日配信する動画もご覧いただけます。
会場住所:京都市北区紫野下門前町44
②後日オンライン動画を視聴する。
事前申込者のみ、1ヶ月限定で動画配信します。
2026年3月16日(月)17:00までにお申し込みください。
会場へのアクセス:
●京都市営地下鉄烏丸線「北大路」駅2番出口より徒歩18分
●京都市バス 1・12・北8・M1・101・102・204・205・206系統で「大徳寺前」下車、徒歩3分
※駐車場はございませんので、近隣のコインパーキングをご利用ください。
ご来場にあたって:
●UDトークによるリアルタイム字幕をつけます。
※補正スタッフを準備していますが、当日こちらで対処できないトラブルがあった場合、補正なしでの情報提供になることをご承知おきください。
●建物の入口には段差があります。車椅子でお越しの場合は、簡易スロープを設置いたしますので、会場スタッフにお声がけいただくか、入口のインターホンでお呼び出しください。
●会場には車イス対応のトイレがございません。近隣の車イス対応トイレをご案内します。
●ご来場やご鑑賞にあたって、心配なことがある場合や、スタッフのサポートが必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。
後日配信について:
●3月15日当日のリアルタイムオンライン配信は行いませんのでご注意ください。後日オンライン配信のURLは、Peatix一斉送信メールシステムを使い、お申し込みいただきましたメールアドレス宛に送信いたします。(3月末を予定)
応援チケットについて:
●本シンポジウムは一般財団法人 川村文化芸術振興財団ソーシャリー・エンゲージド・アート助成を受け実施します。本シンポジウム及びプロジェクトの記録集発行には予算が足りない状況です。ぜひ応援チケット購入でのご支援をお願いいたします。
●会場参加の方は、当日会場で支援の希望金額をお申し付けください。領収書を発行します。
企画者より
本シンポジウムは、アーティストによる「制度批判」実践の一つの方法として行います。
2018年6月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」*1が公布・施行されてから8年が経とうとしています。この間、鑑賞における情報保障の拡充、47都道府県への障害者の芸術文化活動に対する支援センターの設置、障害のあるアーティストが主導するプロジェクトや芸術祭の実施など、多くの変化が生まれました。
この法律によって権利を保障され、経済活動が行いやすくなる人たちと重なりつつも、また異なる場や社会に生きる人たちの制作や表現、そして人権に関する話は、どこで誰がしているのだろうかという疑問がしだいに湧いてきました。
例えば、患者の表現や文化活動に対して理解や関心がない医療の場で、その活動を行ってきた人。例えば、ASD(自閉スペクトラム)の人の「社会的カモフラージュ」のように、「健常な」社会へのパッシングをする・できる人。例えば、芸術の専門的な教育を受けた、あるいは現在受けている、障害者手帳を持つ人。この数年間に、私がたまたま出会った人たちです。
このように、この法律が想像している「障害者」には、誰かが含まれているけれど、同時に誰かが含まれていないのではないか。そして、そのあいだに立ち(あるいは座り、もしくは布団の間に身を置きながら)、生活し、表現をする人たちがいる。
国による「障害者による文化芸術活動」の推進は、「障害」へのスティグマを低減し、「自分」とは異なる人たちと出会い、想像力を深め、ひいては障害者の人権状況の改善につながるのではないか。そのような私の楽観的な理想や希望は、次第に疑問を帯びるようになりました。
先住民族の人権をめぐる状況に目を向けると、1997年の「アイヌ文化振興法」の公布・施行、さらにそれを発展させるかたちで、2019年に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)*2が公布・施行されました。しかし、政治家をはじめとするアイヌの人々へのヘイトスピーチは、ネット上の言説空間において今も根強く存在します。その上で、文化を通して作られる「ステレオタイプ」や「イメージ」の広まりが、マジョリティによる新たな差別の言説を作り出しているようにも思います。
文化振興が進むことと、差別が解消されることは、必ずしも一致しない。そのことを私たちはすでに知っています。
「私たち」が文化芸術を通した「共生社会」の実現をうたう前に、まず、人権の尊重があることを確認する。「人は(みな)何かをつくる存在である」と、文化芸術について話す前に、人びとが生きる地面に手を触れて、「ここには人権がある」という前提を確かめる。この社会を生きてきた人たちのことを思い出す。そのための機会として本シンポジウムを企画しました。 (飯山由貴/美術家)
*1 第一章 総則(目的)第一条 この法律は、文化芸術が、これを創造し、又は享受する者の障害の有無にかかわらず、人々に心の豊かさや相互理解をもたらすものであることに鑑み、文化芸術基本法(平成十三年法律第百四十八号)及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、障害者による文化芸術活動(文化芸術に関する活動をいう。以下同じ。)の推進に関し、基本理念、基本計画の策定その他の基本となる事項を定めることにより、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的とする。
*2 第一章 総則(目的)第一条 この法律は、日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるアイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化(以下「アイヌの伝統等」という。)が置かれている状況並びに近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み、アイヌ施策の推進に関し、基本理念、国等の責務、政府による基本方針の策定、民族共生象徴空間構成施設の管理に関する措置、市町村(特別区を含む。以下同じ。)によるアイヌ施策推進地域計画の作成及びその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けたアイヌ施策推進地域計画に基づく事業に対する特別の措置、アイヌ政策推進本部の設置等について定めることにより、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
プログラム
13:30 はじめに 飯山由貴(美術家/本シンポジウム企画者)
13:40 報告
「精神病院での活動とコロナ禍」 生駒美加、飯山由貴
「自閉症と知的障害のある作家たちとの関わり」 工藤春香
「法律の『境界』上から」 阿児つばさ、姥凪沙
「アイヌの文化芸術振興と人権の状況」 北原モコットゥナㇱ
15:45 コメント 近藤銀河(事前収録した映像の上映)、風間勇助、村上由鶴
16:10 報告者とコメンテーターによるディスカッション
報告者プロフィール ※50音順
阿児つばさ (あこ つばさ)
タイトルと共に日々を過ごすことを「シナリオ」という表現手法とし、様々なメディアを扱ったインスタレーション作品、パフォーマンス作品へと展開する。社会課題参画のための場づくりや企画を行い、一人の市民であり、表現者であることを忘れないようにしている。散歩しながら。
飯山由貴(いいやま ゆき)
美術家。本シンポジウム企画者。東京を拠点に活動している。映像作品の制作と同時に、記録物やテキストなどから構成されたインスタレーションを制作している。人々との会話や出会い、そして自身の生活から、精神障害、ジェンダーに基づく暴力、レイシズムに焦点を当てて制作する。近年は多様な背景を持つ市民や支援者、アーティスト、専門家と協力し制作を行う。
生駒美加(いこま みか)
嵯峨美術短期大学版画科卒。友禅工房で10年ほど働く。その後京都の私立精神科病院の看護助手として25年間勤務し、病院内外でのアート活動を行う。現在は一市民としてアートの現場に関わる。
姥凪沙(うば なぎさ)
右の手・足・耳が不自由な身体障害者生まれ。学校で、家で、いじめられた日、私は暴力を目的としないあらゆる表現で凌駕する表現者となる。私の身体は、障害者・性・家族または愛について記憶するメディアのひとつと考えて表現活動をしている。身体を忘れないため、なにができるか?身体表現を軸に映像表現や空間表現、写真表現などから作品制作を行う。2019年淑徳大学社会福祉学科入学。2026年東京芸術大学美術研究科先端芸術表現専攻在籍中。
北原モコットゥナㇱ(きたはら もこっとぅなし)
(財)アイヌ民族博物館学芸課、北海道大学での勤務を経て、2021年に開設された民族共生象徴空間(愛称:ウポポイ)の開設を支援に携わる。現在、北海道大学アイヌ先住民研究センター教授。自身のルーツである樺太西海岸のアイヌが形成してきた宗教、神話、音楽、工芸などを学ぶ。近年は、これらをジェンダーの視点で考察するなど、様々なマイノリティ研究との接点を模索し、差別の構造や解消についても研究・発信をしている。
工藤春香(くどう はるか)
絵画を起点に、2010 年代後半より、社会問題へのリサーチと言葉を持たない人々への想像力をもとに、テキスト、オブジェ、映像を組み合わせたインスタレーションを制作。2017 年より旧優生保護法に関するリサーチを開始し、2022 年「MOT アニュアル2022:私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」(東京都現代美術館)にて、日本の障害者政策の約100 年の歴史と障害者運動の100 年の歴史を表裏一体にした年表の作品を発表。
コメンテータープロフィール ※50音順
風間勇助 (かざま ゆうすけ)
奈良県立大学地域創造学部講師。東京藝術大学にてアートプロジェクト実践とアートマネジメントを学んだ後、東京大学大学院文化資源学研究専攻で刑務所と芸術についての研究を始める。全国の刑務所から作品を公募した「刑務所アート展」を中心に、刑事司法分野におけるアートの役割とは何かについて実践的に研究を行う。一般社団法人Prison Arts Connections 共同代表理事。NPO法人CrimeInfo副代表。
近藤銀河 (こんどう ぎんが)
アーティスト、美術史家。パンセクシュアル。車椅子ユーザー。主に現代から見てレズビアン的と見える西洋美術を研究するかたわら、ゲームエンジンやCGを用いてセクシュアリティをテーマにした作品を発表する。共著に『はじめての百合スタディーズ』(太田出版、2026)など。単著に『フェミニスト、ゲームやってる』(晶文社、2024)。
村上由鶴 (むらかみ ゆづ)
秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻助教。青山学院大学総合文化政策学部非常勤講師。単著に『アートとフェミニズムは誰のもの?』(光文社、2023)、共著に『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022)。晶文社スクラップブック「わかった気になるー反差別の手立てとしてのアート鑑賞」などを連載中。写真や現代美術、ファッションイメージに関する研究・執筆を行う。
企画・問い合わせ先:シンポジウム:「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」と人権 企画者・飯山由貴
助成:一般財団法人 川村文化芸術振興財団
