奈良県立大学風間ゼミは、「暇（いとま）展」を開催します。予定を埋め、通知に追われ、常に何かをし続けていないと不安になる——そんな日々の中で、何もせずただ “いる” ことを許される時間はどこにあるのでしようか。
本展には、「見る人の暇（いとま）になれたら」という願いが込められています。ゼミ生一人ひとりが、忙しさの中に潜む静けさや、日常の隙間に芽生える思考を作品へと編み込みました。そこには、穏やかに時が流れる空間、忘れかけていた感覚、そして自分と対話するための“暇”が存在します。
作品の前で立ち止まり、ただいる”ことを許す時間。どうぞ、「暇」を見つけに来てください。
日時：2025年12月5日（金）〜12月12日（金） 10時〜17時
※12月7日（日）はお休みです。
※学外からお越しの方は 地域交流棟１階にて受付をお願いします。
会場：奈良県立大学内 各所
展示の様子はInstagramに
個人作品/ワークショップ
「からふる」住田琴 | 地域交流棟１階
私たちの暮らす街は、思っているよりずっと色で溢れています 。
それは看板の赤や信号の青のような鮮やかな色だけではなく、夕方の路地に落ちる影のグレーや、古い建物の壁に滲んだ時間の色かもしれません。見慣れた風景の中で、ふと心に触れる色。この展示ではそんなささやかな色の気配を集めました。
歩くスピードを少しだけゆるめてみると、日常はいつも、からふるです 。
「こころを、つつむ。」小川日和理 ｜地域交流棟３階ラーニングコモンズ
忙しい日々の中で、私たちはいつの間にか“既製品で済ませる”ことに慣れてしまいます。けれど、ご祝儀袋を一つ、手でつくるだけで、時間や手間がそっと温度を帯びていきます 。
このワークショップでは、紙を折り、紐を結ぶその途中に、自分だけの“暇（いとま）”が立ち上がります 。誰かを想う気持ちを、ゆっくりと形にして包む小さな時間。あたたかさを大切にするあなたにこそ、ぜひ体験してほしいひとときです 。
「きみのまち、ぼくのまち」吉岡夢佑大 ｜地域交流棟３階ラーニングコモンズ
暇-いとま-を制した者は街を制する…なんて言葉はありませんが、皆さんは自分の街にどんな思い出がありますか？タイパが叫ばれる現代において暇を作る時間、街をブラブラ歩く時間は貴重になっているのかもしれません。
今回の展示では、奈良県立大学に入学し、奈良市街地を中心に生活を始めて3年が経った私の景色を模型にして再現しました。
是非、奈良や他の街の思い出があればノートに書いてみてください。
「言い方ってもんがあるでしょ」森田与夢 ｜コモンズ棟２階オープンスペース
人間をしていると、生活の中でふと「言ってることは正しいのに何でそんな言い方するかな？」と思うことがある。言葉の内容は違わずとも、言い方で伝わり方はきっと変わるだろう。
なんなら、それによって損をすることも、得をすることもある。まあなんとも面倒くさい。そんな、言葉の言い方を通じて「人間とのかかわり方の模索」をしていくワークショップ 。
開催日時：5日(金)、8日(月)〜11日(木)の18:00〜（30分程度）
「？も積もれば」川上穂乃果 ｜コモンズ棟２階オープンスペース
日々の暮らしの中で生まれるごみは、ただ捨てるだけでなく、リユースやリサイクルなど新たな形で生かすことができます 。今回は家の周りにある捨ててしまうものを【画材】として活用してみました。
「塵も積もれば山となる」ということわざがあるように、僅かなものでも積み重ねればやがて形となり、大きな影響を及ぼします 。この作品は単なる廃棄物の集合ではなく、数十年間同じ場所で積み重ねてきた時間と記憶の集大成です 。
「ひとつなぎの秘宝」小池ひなた ｜コモンズ棟２階 C205前
この展示は、来場者の“宝物”をそっと集めていく作品です 。思い出や人の名前、小さな願い。その断片が壁に積み重なると、皆さんの宝物がひとつなぎの地図となって浮かび上がります 。ひとつではただの欠片でも、集まれば物語になる。そんな静かなつながりを感じられる空間をつくりました！
「売りことばに買いことBAR」堺光平 ｜コモンズ棟１階会議室１
いろんな人の話を集めています 。
お代ではなくお話をしてもらえればドリンクを提供します 。
ドリンクの代わりに、お話も提供できます 。
どうぞ、手ぶらのままで気軽に来てください。
「Tiny Dream Room」北角流音 ｜コモンズ棟１階ロッカーS２９１
本展示では、私が幼い頃から憧れていた“自分だけのかわいい部屋”を、ロッカーの中で再現しています 。子供にとって、理想の部屋を自分の手で作り上げることは簡単ではありませんでした。しかし、ロッカーのような小さな箱であれば、あの頃に思い描いていた“好き”や“憧れ”を無理なく形にすることができます 。大人になった今、小さい頃の夢を思い出してワクワクしながら制作しました。
「色の記憶」 岡田鈴 ｜コモンズ棟１階和室
植物は光を浴びて、水を吸収し、風に揺られながら、日々形と色を変える。そんな植物から抽出する色は、ひとつとして同じものはない。祖母が育てた植物を使って、草木染めをしました。植物が過ごした記憶を、私がとらえた一瞬の色を楽しんでください。
「体罰は善か悪か。」 福原貫志 ｜クラブハウス棟２階CH13
「体罰は善か悪か」というテーマのもと「教育と暴力」の関係を多角的に考察する。
昭和の学校では叩く・怒鳴る指導が「愛のムチ」として受け入れられ、体罰は疑問視されにくかった。しかし、現代ではそのあたり前があたり前ではない。体罰を善悪で二分する議論は分かりやすいが、教育と暴力の境界はもっと複雑で、どんな現場にも”紛れ込む”可能性がある。大人が良かれと思う行為が、子どもには恐怖や支配として届くこともある。だからこそ私たちは、体罰の善悪という単純な二項対立を超えて、 「教育とは誰のためで、どこから暴力になるのか」を問い続ける必要がある。
屋台プロジェクト
屋台「まにまに」
姫子松優佑、伊藤徳久、岩見駿佑、住野なつ美、田中千恵梨、上杉草太、小村啓太郎
「写真と挽きたてコーヒー」伊藤徳久
写真集とその瞬間に寄り添う挽きたてコーヒーをあわせて用意した。視覚と香りが重なり、見ることと味わうことがひとつの流れになるよう意図して構成している。
作品に向き合う時間が、落ち着いて自分の感覚を確かめるひとときになることを大切にしている。
営業日時：12月5日(金)11:30〜16:30
「あてずっぽう紅茶店」 姫子松優佑
いま、世の中には“自分を何かに当てはめる”装置があふれています。性格診断、相性 診断、血液型と性格……。その流れへのささやかな反抗として、 「あなた自身を診断しない“紅茶診断”」を行います。結果をもとに、紅茶をひとつ選び、提供します 。もちろん、いやなら断って好きな紅茶を自由に選んでもらっても構いません。所詮、この診断はあてずっぽうです 。
営業日時：12月10日(水)10:00～16:30
「笑いのルーツ」岩見駿佑
SNSが発達し、テレビを見る機会が減ってしまった今、それぞれの笑いの好き嫌いがはっきりと分かれています 。漫才でもコントでもピン芸でもなんでも構いません。今好きだったもの、昔好きだったもの。それぞれのお笑いを見始めたルーツや受け取ってきたものに関して様々な話が聞きたいです 。ジャンルは問いません。好きにそれぞれのお笑いを語ってください。
営業日時：12月8日(月)10:00〜16:30
「知らない誰かへ」上杉草太
知らない誰かへレター交換。
多くの人は、人それぞれ違う当たり前を持ちながら日々生活している。また、その当たり前を知る手段として私たちはSNSに頼りすぎてるのではないかと思う。現代において偶然的に他者の価値観を知る機会は減少している。
今回このレター交換を行うことで言葉にならない思いを知り他者理解を行う機会を作り共生社会を行える場を作りたい。
在廊日時：12月11日(木)12:00〜13:00、16:00〜17:00
（展示は常設ですが、在廊中は屋台にいます 。 ）
「♨ほっとしていき屋♨」 住野なつ美
屋台「まにまに」のひとコマをお借りしてお茶係やります 。あたたかい抹茶とわたしのお気に入りのおやつくじをゆるっと用意して待ってます。
みんなの展示のついでに、でなくてもなんとなくふらっとお気軽に、ほっとひといきつきましょう（◜ᴗ◝）
まあいっか、と肩の力が抜けたなら、この屋台の役目はたぶん達成です 。
営業日時：12月9日(火)10:00〜16:30
「あなたの道」 小村啓太郎
多様な価値観。人によって考え方、感じ方は違う。
あなたの過去の経験、失敗、経緯からあなたの価値観を教えてください。人に自分自身の経験を語る機会が少ないこの時代、誰かに共有しお互いを分かち合える社会って素敵だと思いませんか！
営業日時：12月12日(金)10:00~14:00
「ぬくもりを編む」 田中千恵梨
色とりどりの毛糸で指編みをします。
スマホやパソコン、硬い電子機器に触れ慣れた手を止め、もこもこであたたかな毛糸と触れ合ってみませんか。もくもくと集中して編むもよし、わいわい談笑しながら編むもよし。
手先の冷えやすくなったこの季節、指と心温まるひとときになれば幸いです。
在廊時間
12月8日(月)10:30～12:10、13:00～14:30
12月10日(水)13:00~14:30、16:20~17:50
12月11日(木)16:20∼17:50
（展示は常設ですが、在廊中は屋台にいます 。 ）
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