11/29(土)10時〜「壁を越えて、広がる対話 ~声とアートのメディア実践~」(日本メディア学会2025年秋季大会)

日本メディア学会の2025年秋季大会でのワークショップにて、風間が登壇します。

「壁を越えて、広がる対話 ~声とアートのメディア実践~」

日時:2025年11月29日(土)10時〜12時15分

オンライン開催

*大会プログラムは以下のページをご参照ください。
 「日本メディア学会2025年秋季大会 特設ページ

問題提起者:芳賀美幸(「コウセイラジオ」パーソナリティー)、風間勇助(奈良県立大学)

討論者:伊藤 守(早稲田大学)

企画・司会:濱口英雄(立命館大学)

本ワークショップは、少年院や刑務所をはじめとした矯正施設と社会との乖離をメディア実践によって橋渡しする試みの意味と可能性について多角的に議論することを目的とする。近年、矯正施設の被収容者を主なオーディエンスとする「刑務所ラジオ」や、受刑者の自己表現を社会に開く「刑務所アート」など、当事者が表現主体として参画するメディア実践が広がり始めており、その意義を検討する必要性が高まっている。

欧米では受刑者や出所者によるラジオやアートを通じた自己表現に関する研究蓄積がみられるが、日本では当事者による継続的実践と社会的受容を接続する研究はまだ限られている。加えて、今年から導入された拘禁刑のもとで、施設内処遇と社会内処遇をどのように架橋するかが改めて問われる現在、当事者の声なき声を可視化し、隔絶された施設と社会との接続を図る実践について検討することは、メディア研究・社会学・犯罪学研究を横断し、新たな公共圏のあり方を探る営みでもある。

ワークショップでは、当事者による自己表現の意義や、声なき声を可視化することの可能性について考える。受刑者や出所者の自己表現とはどういったものなのか。表現活動は当事者にとってどのような意味を持つのか。可視化を通じて市民の間にどのような反応が生まれ、表現をめぐるまなざしの交叉は何をもたらすのか。声(ラジオ)と展示(アート)というメディアの違いは、受容や対話の回路にどのような差異をもたらすのか。こうした検討を通じて、当事者の表現が社会にどのような対話や多声性を生み出し得るのかを明らかにしていく。

本ワークショップには、二人の問題提起者が登壇する。ひとりは、「刑務所ラジオ」の研究者である芳賀美幸氏。芳賀氏は、受刑者がラジオを通じていかに自己の物語を構築し、他者から承認されることで社会復帰への希望を見出すかというテーマで研究を進めてきた。メッセージ投稿や音楽リクエストを通じた DJ や他のリスナーとのコミュニケーションが「ケア」につながる可能性を指摘する。また、少年院や刑務所の入院・入所経験者、その家族らが自らの声で経験を語るラジオ番組「コウセイラジオ」を企画・構成し、パーソナリティを務める。この番組は、愛知少年院内でも放送されており、在院者が執筆した詩を朗読するコーナーを設けるなど、矯正施設と地域社会をラジオを通じてつなぐ働きを担う。もう一人は、刑務所とアートをテーマに実践的研究を行う風間勇助氏。風間氏は、「刑務所アート」展を通じて、刑務所の内と外の対話の回路の構築について研究と実践を重ねている。刑務所から届く作品を通して、一人ひとりが異なる存在であることに向き合い、加害や被害とその回復について、マス・メディアとは異なるコミュニケーションの場を立ち上げることを目指している。

当事者らの「声」を可視化する試み(芳賀氏)と、「視覚的表現」を通じて社会との対話を生み出す試み(風間氏)。本ワークショップでは、異なる二つのメディア実践から得られた知見について、主にメディア研究の視点から検討を加え、新たな議論を喚起する。討論者は、メディア研究者の伊藤守氏が務める。司会は、罪に問われた人たちの表象の社会的受容について研究課題とする濱口が務める。濱口は、刑務所での矯正指導に従事する中でコミュニケーション教育を実践し、沈黙の文化が支配する環境下での自己表現や対話の必要性を痛感してきた。現在、出所者の社会復帰過程におけるスティグマの乗り越えがどのように行われるのかという観点から研究を進めている。

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