3月19日(水)に英国大使館にてNPO法人CrimeInfoの設立5周年記念会がひらかれました。CrimeInfoは、日本の死刑に関する統計資料、刑事司法の諸問題に取り組んだ論文・エッセイ集、死刑をめぐる映像ドキュメンタリーなどの情報提供を行うウェブサイトを運営しています。風間はこのCrimeInfoの副代表をしています。

今年はちょうど死刑制度に関する世論調査の報道がでました。昨年は袴田巌さんの冤罪が大きく報道されましたが、しかし、世論調査の結果としては死刑制度は「やむを得ない」とする人が8割を超えるという結果でした。
*参考記事:「死刑制度を容認、8割超 「廃止すべき」も増 内閣府世論調査」(朝日新聞、2025.2.21)
「「少しでも長生きして弟に自由な時間を」 袴田巌さんの無罪のため56年間闘った姉ひで子さん、BBCに思い語る」(BBC NEWS、2024.12.25)
CrimeInfoの代表的なプロジェクトのひとつにこの「世論調査」にせまったものがあります。それが、「審議型世論調査」と呼ばれるものです。無作為に集まった「市民」たちが、死刑制度に対する考えをアンケートに記入するのですが、専門家や被害者遺族らの話を聞いたり、それらについて議論をしたりする前後で、意見がどのように変わったのか、その「ゆらぎ」を明らかにしました。
*参考「死刑に関する世論調査」(CrimeInfo)
死刑制度についていろんな情報に触れると意見が変わる。だからこそ情報は大事なのですが、日本では死刑のその実態があまり公開されていません。情報がないのに、よくわからないのに、世論調査では意見だけ聞かれるという状況です。

記念集会では、代表の田鎖麻衣子がこれまでの5年の活動を振り返り、またこれからの5年について話しました。また、基調講演では、中央大学名誉教授の北村泰三先生に「死刑・刑事司法と人間の尊厳」と題してご講演いただきました。

立憲民主党の柴田勝之議員、小熊慎司議員、鎌田さゆり議員、社民党の福島みずほ議員にも参加して頂きました。ありがとうございました。
刑事司法の問題には専門的知見が欠かせないことが多いのですが、それでも市民が一緒に問題を考えていく時に、アートが果たせる役割があるのではないかということで、私が関わっている理由となります。実際、CrimeInfoはフォトライブラリーとして刑務所の写真を公開するほか、写真展などもこれまで開催してきています(そのお手伝いをしてきました)。今後はもっと教育の現場に、教材を届けたり活用を促すようなことができないかなと、これまでの5年の成果をもっと広げていきたいと思った日でした。
アレンジしてくださった英国大使館のみなさまに大きな感謝です。